リコール騒動のフィット3!不具合とホンダの対応をみる!
目次
フィットの1年間に5回というリコール騒動、その直後に世界中を巻き込んだエアバッグ問題。
今後の不具合を減らすために社長も交代し、量より質へ対応し始めたホンダ。
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でも、フィットと同じハイブリッドi-DCDを搭載したヴェゼルでも同じく不具合。
今回は、問題となったフィットのリコールや不具合、ホンダの対応についてです。
そもそもリコール級の不具合って?
国内販売100万台、世界販売600万台という野望の足掛かりとして、フィット3が2013年に登場しましたよね。
しかしながら、発売と同時にリコール問題に直面し、1年間に5回ものリコールという大記録を作ってしまいました。
ということもあって、リコール前後のフィットハイブリッドの検証をする動画もたくさんに。
例えば、こちらの検証動画。
⇒参考動画
そのため、ホンダはフィットを含む、同じi-DCDシステムを搭載した車種の不具合対策や品質チェックに追われ、新しいモデルの投入スケジュールも大幅に遅らせることになりました。
(現在は、リコール対応も不具合も初期に比べて、しっかり落ち着いてホントに良かったですよね。)
そして、リコールと言えば、タカタのエアバッグ問題が世界中で話題に。。。
このエアバッグ騒動でも一番ダメージが大きかったのがホンダでした。
なぜなら、タカタはホンダのエアバッグの一番のサプライヤーであり、現在から過去にさかのぼってタカタ製エアバッグをたくさん採用していたからです。
何だか2013年以降は、ホンダは不具合やリコールなどといった品質絡みで踏んだり蹴ったりですよね。
ちなみに、ホンダとタカタが共同研究によって、国産車初のエアバッグシステムを商品化したんですよね。
1987年発売のレジェンドで。
いつの時代も最先端を駆け抜けようとする姿は、ホンダの「The Power of Dreams」的なカッコイイ姿勢ですよね。
自動運転支援システムでは出遅れた感がありましたが、ホンダ・センシングで巻き返していけそうですしね。
ホンダのフラッグシップ・モデルの新型レジェンドも発売されましたし、今後もNSXをはじめホンダらしいクルマが登場してきます。
ちなみに、新型レジェンドもフィットハイブリッドと同様にDCTを採用しており、発売延期が重なりましたよね。
不具合の洗い出しや、再びリコールが起きないように最終チェックが必要ですからね。
ところで、自動車メーカーがリコールを発表して、回収や修理をしてくれますが、この回収・修理って3種類あるんですよ。
それは、
- リコール
- 改善対策
- サービス・キャンペーン
の3つです。
ここで、リコールの定義とは、
リコールとは、同一の型式で一定範囲の自動車等又はタイヤ、チャイルドシートについて、道路運送車両の保安基準に適合していない又は適合しなくなるおそれがある状態で、その原因が設計又は製作過程にあると認められるときに、自動車メーカー等が、保安基準に適合させるために必要な改善措置を行うことをいいます。
です。
つまり、リコールとは、メーカーの設計や製造が原因で、道路運送車両法の基準をクリアしていない状態です。
法律上、安全確保と環境保全がちゃんとしたレベルに達していないってことですよね。
そして、改善対策は、法では規定されてないが、安全確保と環境保全で見逃せない問題が生じる場合です。
最後に、サービス・キャンペーンは、リコールと改善対策レベルではない軽度の改善措置です。
といっても、クルマに乗ってる側からすると、重度の不具合でも、軽度の不具合でもハラハラものですが。。。
で、今回のフィット3ハイブリッドの場合は、法的にアウトな不具合が5種類あったってことです。
数万個という大量の部品で構成されるクルマとは言え、命を預ける側からすると1個の不具合だけでもキツイですよね。
しかも、フィットの場合は、走行の心臓部であるトランスミッションで3回のリコールでしたから、心配でたまらないですよね。
このトランスミッションの部分が、今回のフィットハイブリッドで挑戦した世界初のハイブリッドシステムですから。
リコールで客足も遠のき、新モデル投入も遅れて、販売計画も大きく下方修正していく事態になりましたよね。
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世界初のシステムの不具合にホンダ苦しむ!
リコールってメーカーの信頼性を大きく失ってしまう大問題なわけですが、ホンダは販売目標の達成に焦ってしまったのでしょうか??
でも、リコールというデメリットを考えると、販売台数を理由にリコールや不具合連発な商品を出そうとは思わないですよね。
しかも、フィットはホンダの主力のモデルですし、同じくリコールを連発したヴェゼルも重要機種ですし。
ヴェゼルのような、小型SUV市場は今すごく熱いですからね。
そこで、不具合&品質チェックが完璧でなかったことに目をつむれば、
- ハイブリッド・システムの種類を広げ過ぎた
- シェフラー製DCTがブラックボックス
- そもそもi-DCDシステム自体が超複雑
な理由が今回のリコール&不具合の根源かと思います。
不具合&品質チェックに、人やお金、時間をもっと掛けていれば、避けられたかもしれないですよね。
で、まずは、ホンダってハイブリッド・システムが3種類もあるんですよ。
これって他社から見るとスゴく異様なのです。
3種類ともスポーツ・ハイブリッドという名前が頭に付くのですが、
- i-DCD(Intelligent Dual Clutch Drive)・・・1モーター式
- i-MMD(Intelligent Multi Mode Drive)・・・2モーター式
- SH-AWD(Super Handling-All Wheel Drive)・・・3モーター式
の3ラインナップで、搭載されるモーター数が違います。
いや~、開発陣は大変ですよね。
だって、従来まではIMAという1モーター式のハイブリッド・システムを全車種に搭載してたのが、ここまで揃えられちゃうと。
あのトヨタでさえも、システムの大きさを変えるだけで、大まかなハイブリッドシステムは1種類で統一しているのですから。
ホンダのハイブリッドシステムのラインナップ体制だと、人や資金といった開発資源が3分割されちゃいますしね。
ちなみに、SH-AWDシステムでは、今回問題になったi-DCDにモーターがさらに2つ付くという、トンデモ仕様です。
レジェンドやNSXに搭載される超上級グレード向けのハイブリッドシステムです。
こういうところがチャレンジングなホンダっぽいですよね。
そして、i-DCDのDCT部品ってドイツのシェフラーっていう会社からのお買い物なんですよ。
シェフラーさんがこの辺の特許を保持してますしね。
で、「DCTの中の制御がどうなってるのか??」って非公開な部分もあったことでしょう。
買い物部品ですと、中身がブラックボックス状態で手探りで開発することもありますから。
開発の過程でなんとなくクセがわかっていくというか、何というか。
部品サプライヤとの密なコミュニケーションも重要ですしね。
そんなこんなで、リコール級の不具合が残っちゃったのかと。
といっても、やはり、i-DCD自体があまりにも複雑で、チャレンジング過ぎたのでしょう。
- モーター単独で走る
- エンジンとモーターの力を合成して走る
- エンジンの力を駆動力と発電に分割して走る
- 回生ブレーキ
という走行モードがありますが、それぞれのモードで効率の良い最適なギアを選び、バッテリーの状況も加味して・・・といろんなことができて嬉しい反面、逆に頭を悩せますよね。
「クルマ自体のたくさんの選択肢 × ユーザーの膨大な使用ケース」という巨大な組み合わせで、クルマの動作パターンを全て書き出すのはとても大変でしょう。
あってはならないですが、仕様の抜け漏れは出てきそうですよね。
ホンダ側がよく口にした「お客様のさまざまな使い方を想定した検証が不十分だった」という言葉はこのことだと思います。
制御プログラムの開発も大変だったと思いますが、このプログラム自体の仕様検討に一番苦労したかと思います。
「あれも検討しなきゃ!」、「この状況が抜けていた!」といった具合で。
何にしても、ソフトウェアの不具合って何かしらが永遠に残り続けますからね。。。
しかも、ホンダは2輪ではDCTの採用実績があったようですが、4輪では初めて。
さらに、そんな初DCTを新型のハイブリッド・システムのコア要素に採用。
ホンダらしいと言えばホンダらしいのですが、ハードルが高すぎたのではと思う所存です。
フィットと同じハイブリッドの車は?不具合は?
フィット、ヴェゼルと2車種でリコールや不具合を連発してしまいましたが、その後の新モデルでもi-DCD搭載車がたくさん続きましたよね。
i-DCDは「楽しさ」と「低燃費」が両立したホンダ自慢のシステムですから、
- グレイス
- ジェイド
- シャトル
- レジェンド(SH-AWD)
と採用されまくりでした。
ただ、リコール問題で品質検証をかなり綿密にやったため、市場投入が大幅に遅れましたよね。
販売台数なんかより、宗一郎さんの時代から120%の良品のホンダですから、これからは大丈夫だと信じています。
グレイス以降ではi-DCDもかなり熟成されたみたいで、リコールは無かったですよね。
それに、シェフラーさんのDCT部品って、エンジンの特性が違っても共通した使い方ができるように配慮されているそうです。
「同じ制御ロジックを使うことで、ソフト開発が効率化できる」
引用元:日経Automotive(2015/5)
とのことです。
一方で、i-DCDよりも一足早く登場したのがi-MMDシステムですよね。
このシステムは、アコード・ハイブリッドとして初めて市場に投入されました。
先にも書きましたが、i-MMDは2モーター式のシリーズ型ハイブリッド・システムです。
このi-MMDの特徴をまとめますと、
- 2つのモーターを搭載(発電用と走行用)
- エンジンは発電に専念
- 低速~中速域は、走行用モーターで走る(発電した電気エネルギーを使って)
- 高速クルーズ時、エンジン走行(MT車のトップギア状態)
という感じです。
i-MMDを簡単にまとめると、エンジンが発電しながら、走行用モーターで走るってことです。
で、高速クルーズ時は、エンジンが車輪直結で走ります。
このi-MMDシステムの最大のメリットは、効率が一番良い回転数でエンジンを回せるってことなんです。
常時、最高効率でエンジンが回れば、当然ながら燃費が良くなりますよね。
そして、こっちのi-MMDでは、リコールが一切起きなかったですよね。
ただし、衝突軽減ブレーキではあったようです。(当該リコール)
あと、高電圧バッテリーECUのプログラムのサービス・キャンペーンですね。
で、このシステムはi-DCDとは正反対で、ギアの数が少なくて、とてもシンプルな構造なんですよ。
しかも、このアコード・ハイブリッドはJC08モードで30.0 km/L という低燃費を誇るという、凄い優秀な奴です。
さらに、あのオデッセイハイブリッドが最近発売スタートしましたが、オデッセイハイブリッドもアコードハイブリッドと同じく、i-MMDシステムが搭載されています。
オデッセイハイブリッドの最高燃費は、なんと26.0km/Lと、こちらも驚異的です^^
i-MMDシステムは、大きいサイズのクルマでも低燃費のクルマができちゃうんです。
その分、お値段はお高くなりますが。。。
やっぱり、Simple is The Best なi-MMDがホンダ本命のハイブリッドシステムでしょうか!?
オデッセイハイブリッドでは、アコードハイブリッドのシステムに比べて23%くらいサイズを小さくできたようですし。
次期新型フィット4ハイブリッドもi-MMDである、というウワサが雑誌やネット上で流れていますからね。
VWのディーゼル不正問題への対応
ホンダのフィットハイブリッドの不具合&リコール問題のまとめに入る前に、VWのディーゼル不正問題への対応について少しばかり触れてみたいと思います。
ディーゼル車の排気ガスの規制をクリアするために、排ガス試験の最中だけ規制をクリアするソフトウェアを使ったワケですよね。
「不正用ソフトウェアに書き換えた」というワケではなく、排ガス試験中であることをクルマが認識して、「規制をクリアできるようにソフトウェアがその時だけ作動する」という不正ですよね。
クルマの挙動から一般道を走行しているのか、排ガステストで走行しているのか、がわかるようです。
で、この不正が判明したのは、第三者機関がVWのディーゼル車で環境テストをしていた時です。
この機関の環境テストにおいて、「もっと良いテスト結果が出るはず」と推測していたのに、結果があまり芳しくなかったんですよね。
それで、「おかしいな」と何度もテストを繰り返しても、思ったような良い結果が出ない状況が続いていました。
そして、テストの方法が間違っているのではなく、クルマ自体に問題があるのではと目を付けられ、この不正問題がバレてしまったということです。
こちらの問題は不具合的なモノを自ら埋め込み、隠し通そうとしていたワケですから、かなり悪質ですよね。
そのため、VWのブランドイメージはディーゼルに限らず、大きく失墜しましたよね。
ここは、日本のディーゼル代表として頑張っているマツダには、ディーゼルで世界を取って欲しいところです。
まとめ-フィットの不具合とホンダのリコール対応
そんなこんなで、ホンダのフィット3ハイブリッドのリコールや不具合について見てきました。
ここで、フィット3ハイブリッドのリコールとその不具合を表にまとめてみました。
回数 | 不具合 | 対象台数 |
1回目(2013/10/24) | DCT変速制御プログラム | 4,883 台 |
2回目(2013/12/20) | DCT変速制御プログラム、エンジン出力低下、クラッチの開閉 | 3万6,100 台 |
3回目(2014/ 2/10) | DCT変速制御プログラム | 7万299 台 |
4回目(2014/ 7/10) | エンジン制御プログラム | 13万1,040 台 |
5回目(2014/10/23) | 点火コイル、電磁ノイズ | 24万7,571 台 |
開発チームが頭を悩ませまくったのがスゴく伝わってきます。
最初の3回なんて、2ヶ月ごとにリコールでしたから。
これはキツイ。。。
でも、ホンダの対応って良いですよね。
1年に5回リコールしたとは言え、包み隠さず(隠さずともバレまくるのが今のご時世)、迅速ですよね。
今回のように、エンジン、DCT、モーター、バッテリーといった複数の部品が密に連携しているシステムだと、不具合の原因解析も難しいですが、その不具合自体を発見するのも困難でしょう。
ユーザーの使い方も多種多様ですし、様々な走行状況をカバーして開発する必要がありますしね。
結果的に、お客様を使ってデバッグ(バグ取り)をしてしまったようで、非常に残念ですが。
しかも、フィットだけじゃなく、フィット登場後に発売されたヴェゼルでも3回のリコールが発生してますしね。
ヴェゼルはフィットの兄弟車種ですから、同じ不具合が出てくるのは当然ですけど。
でも、やはり、DCTの制御プログラムの不具合問題が目立ちます。
ホンダは、独立独歩を貫いてきた会社ですよね。
シェフラーなど他社と深くコラボするケースには慣れていないのでしょうか。
怖い思いをしたユーザーやミッション交換などでお怒りの方々もたくさんいると思います。
とはいっても、早期のリコール対応と、「販売台数ではなく品質」という会社の方向転換は評価にあたる対応なのではないでしょうか。
品質改善の施策もすぐに打ち出しましたよね。
今後の更なる飛躍に期待って感じですよね。
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